歯科で扱う病気の大部分はむし歯と歯周病ですが、お口の中の病気はこれだけではありません。親知らずが痛くなることや、顎の骨が折れてしまうこと、また、腫瘍ができることもあります。
さらに、顎の関節に異常が現れることもあります。このような疾患に対して治療を行い口腔・顎(あご)・顔面全体の自然な形や機能を回復させることを行うのが口腔外科です。
● 歯が原因で歯ぐきや顎が腫れる炎症や歯科疾患
・親知らず(智歯)
・歯の破損や口の中の裂傷
● 口の粘膜などに発生する良性および悪性腫瘍
● 顎の関節やその周囲に痛みが生じたり、口をあけることができないなどの顎関節の疾患
● 顎の骨折などの外傷
● 保存できない歯を親知らずなどの歯を用いて再生させる歯牙移植
● 口唇裂・口蓋裂などの先天異常
● 顎の中や軟組織にできる嚢胞(のうほう)
親知らずは正常な生え方をしていて噛み合わせの機能を果たしている場合を除き、多くの場合(歯肉の炎症やむし歯、歯並びに及ぼす悪影響など)において抜歯が必要となります。痛くなってからではすぐに処置することが難しい場合が多いので、現在の親知らずの状態をしっかり把握しておくことが重要です。
親知らずを抜くかどうかの判断は、患者様のブラッシング方法によっても異なります。
全てにおいて早めの対応が望ましいと考えられますので、少しでも気になるようなことがあればいつでもお気軽にご相談ください。
顎が「開かない」「痛い」「音がする」は顎関節症(がくかんせつしょう)の三大症状です。
顎関節症は、10代後半から20代、50代・60代にも起こりやすい病気です。
この顎関節症、自然に治る軽症のものから、仕事はおろか日常生活さえままならない深刻な症状に苦しめられる重症の患者さんもいます。
手軽にできる顎関節症のチェック方法は、「口を無理せず大きく開いたときに、指を縦にして何本入るか」を調べるというものです。正常であれば3~4本入りますが、顎関節症の場合は1~2本しか入りません。
ただし、顎関節症チェックの際には無理に大きく開かないでください。また、少しでも痛みを感じるときは無理やり開かずに、すぐに口腔外科のある当院にご相談ください。
歯の根っこに膿が溜まった状態を指す「歯根嚢胞(しこんのうほう)」。歯医者で歯根嚢胞だと診断された場合、治療の選択肢としては、根管治療(歯の神経を触る治療)、嚢胞摘出術、抜歯の3つに大別されます。
簡単に言いますと、むし歯が原因でできてしまった歯根嚢胞であれば、根管治療で対処するケースが多いです。根管治療を行っても症状が改善しなかったり、嚢胞が大きかったりするケースでは嚢胞摘出術を行う場合もあります。
根管治療とは、歯の神経を取り、根っこの部分をキレイにして無菌状態にする治療のことを指します。歯の神経を取ったあとは根っこの中に薬をつめて、ふたたび感染するリスクを防止するために詰め物をして密閉します。
根管治療は、歯根嚢胞が比較的小さい状態で行うことが多いです。この根管治療が適応できないようなケースでは別の治療パターンで検討していきます。
嚢胞の大きさや根の状態、またはかぶせ物を外せない場合は根管治療では対応できない場合があります。そのようなケースでは外科的手術である「嚢胞摘出術(のうほうてきしゅつじゅつ)」を視野に入れて検討していきます。
歯根嚢胞を摘出する処置の際、歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)といわれる治療法が適応されることが多いです。歯根端切除術とは、感染した歯の根っこの尖端部の切除とともに嚢胞の摘出を行う治療法を指します。
歯根端切除術は歯ぐきを切開して剥がしたり顎の骨を削ったりする外科的な処置を含みますので、患者さんの負担も大きいです。
術後の骨の再生に半年〜1、2年かかるケースもありますし、術後の腫れも抜歯よりも強く目立つことも。ですので、歯根端切除術を行うには見極めが必要だと言えます。
歯の骨の状態が悪い場合や根っこの方まで歯が割れてしまっている場合、最終手段として原因歯の抜歯と同時に嚢胞の摘出を行います。
抜歯を行った後は、入れ歯やインプラント、ブリッジによるかぶせ物で失った歯を補います。
歯ぐきに膿が溜まり大きく腫れたり、強い痛みがあったりなど急性症状の場合は、歯ぐきを切開して排膿し、膿を出すことで痛みを引かせます。
切開排膿を行ったあとは痛み止めや抗生物質などのお薬も処方し、経過を見ていきます。切開排膿はあくまでも応急処置なので、症状が落ち着いたら根管治療や嚢胞摘出手術などの治療が必要です。